Excelの注文リストをピッキング作業に変える方法
注文データがすでにExcelにあるなら、ピッキングのやり方を改善するためだけにスプレッドシートを手放す必要はないかもしれません。
小規模な倉庫、卸売業者、共同購入の主催者、食品・生鮮の配送業者、EC出荷チームの多くでは、本当に手間が生まれるのは注文データが整ったあとです。誰かがスプレッドシートを印刷し、紙を持って作業場を回り、行を目で追って確認し、あとからどこまで終わったのかを突き合わせる——という流れになりがちです。
現実的な第一歩は、Excelを注文データの置き場所として残したまま、ピッキングの実行部分だけをデジタルの作業フローに移すことです。
大まかに言えば、流れはこうなります。
Excel/CSV → 整理されたピッキングタスク → モバイルでの案内 → デジタルでの完了確認
これは、スマートフォンでスプレッドシートを開くこととは違います。役に立つピッキングの作業フローは、次に何をすればよいかを示し、判断に必要な情報を保ち、終わった作業をはっきりさせてくれるものです。
Excelのピッキング作業フローとは何を指すのか
Excelのピッキング作業フローとは、すでにスプレッドシートに入っている注文情報を出発点として、現場のピッキング作業を組み立てることを指します。
スプレッドシートは本来、データを保存し整理するためのものです。一方で作業者に必要なのは、商品・棚・箱・注文のあいだを移動しながらでも、そのまま実行できる指示です。
そのため、実用的な作業フローは次のような素朴な問いに答えられる必要があります。
- どの商品を取ればよいか
- いくつ取ればよいか
- どの注文・どの顧客のためのものか
- 知っておくべき規格・単位・備考はあるか
- 次は何をするのか
- この作業はもう終わっているのか
重要なのはファイル形式そのものではありません。データの行から、実行して確認できる作業へと変わることです。
たとえば注文のスプレッドシートには数百行が並んでいることがあります。作業者にその行を目で探させる代わりに、デジタルの作業フローなら必要な情報をピッキングタスクの並びとして整理し、いま取り組むべきタスクをモバイル端末に表示できます。
そうすると、次のような流れになります。
Excel/CSV → 取り込み → 整理 → ピッキング → 確認 → 完了
すでに手元にあるデータから始める
注文業務全体を作り直す前に、いま使っているスプレッドシートを見直してみてください。
多くの現場では、そこにピッキングに必要な情報がすでにほとんど揃っています。目指すのは、すべてのスプレッドシートを同じ形にそろえることではありません。どの列が業務上の意味を持っているのかを見きわめ、その意味が一貫して読み取れる状態にすることです。
作業者が本当に必要とする項目を見きわめる
作業内容によって異なりますが、次のような項目が役に立ちます。
- 注文番号
- 顧客名
- 顧客コード
- 商品コード
- 商品名
- 規格
- 数量
- 単位
- 注文備考
すべての業種にすべての項目が必要なわけではありません。
たとえば小規模な共同購入では、顧客・商品・数量・備考があれば足りることが多いでしょう。卸売業者であれば、商品コード・規格・単位・注文番号の比重が大きくなります。
最も使いやすいピッキング画面は、たいてい情報量が最も多い画面ではありません。作業者が正しい次の行動を選ぶのに、ちょうど足りる情報が出ている画面です。
1つの列に1つの意味を持たせる
列の意味が一貫していると、スプレッドシートはデジタルの作業フローに変えやすくなります。
たとえば次のような点です。
- 数量は商品説明の中に紛れ込ませず、数量の列に入れる。
- 見出し行の表記をそろえる。
- 商品コードと商品名がどちらも重要なら、別の項目として分ける。
- 印刷のためだけのセル結合や見た目の装飾に依存したレイアウトは避ける。
- 注文番号や顧客の識別情報があるなら、そのまま残す。
デジタルのピッキングを試す前に、完璧なデータベースを作り込む必要はありません。必要なのは、それぞれの値が何を表しているのかを作業フローが理解できる程度の一貫性です。
スプレッドシートの行を、実行できるタスクに変える
ここが、スプレッドシートと本当のピッキング作業フローとを分ける段階です。
Excelのシートはデータのために整理されています。ピッキングの工程は行動のために整理されている必要があります。
たとえばスプレッドシートに200行の明細があるとします。その200行を小さな画面にそのまま表示しても、実務の意味でデジタル化されたことにはなりません。作業者は依然として正しい行を探し、内容を解釈し、どこまで進んだかを覚えておき、次に何をするかを自分で判断しなければならないからです。
実行のための層を挟めば、その行を「順番」に変えられます。
1件のタスクには、たとえば次のような情報が表示されます。
- 現在の商品
- 規格
- 必要な数量
- 注文または顧客の情報
- 関連する備考
- 完了をはっきり確認する手段
確認が終われば、作業フローは次のタスクへ進みます。
タスクをどう並べるべきかは、現場によって変わります。
注文ごとにピッキングする
注文単位の作業フローでは、1つの顧客または注文に必要な商品をすべて集めてから、次の注文に移ります。
理解しやすく、注文を1件ずつ処理する現場に向いています。
元のExcelの行にはすべてのデータが残ったままですが、実行画面では現在の注文に関係する行だけがまとまって表示されます。
複数の注文をまたいでピッキングする
一方で、同じ商品の場所に別の注文のたびに何度も戻るのは非効率な場合があります。
同じ元データを商品単位、あるいは別の作業順で整理し直せば、関連するピッキングをまとめて済ませてから、最後にそれぞれの注文へ振り分けることもできます。
どちらが適しているかは、商品・レイアウト・注文量・後工程によって変わります。大事なのは、スプレッドシートの並び順が、現場の作業順を決める必要はないという点です。
注文データはすでにExcelにありますか? SortingGoが既存の注文データをどう扱うのかをご覧ください。
紙のピッキングリストをモバイル端末に移す
スプレッドシートで運用している現場の多くは、事務所の机の上ではすでにデジタルなのに、倉庫や梱包の現場では紙に戻っています。
実際の流れはたいてい次のようになっています。
Excel → 印刷 → 紙を持ち歩く → 行を探す → ピッキング → ペンで印をつける → 繰り返し
モバイルのピッキング作業フローは、この実行部分を置き換えます。
Excel → 取り込み → タスクを表示 → ピッキング → デジタルで確認 → 次のタスク
| 紙での作業 | デジタル作業フローでの対応 |
|---|---|
| スプレッドシートを印刷する | 注文データを取り込む |
| 行を自分で読み取る | 実行できるタスクとして表示する |
| ペンで印をつける | デジタルで完了を記録する |
| 次の行を自分で探す | 次のタスクへ進む |
| あとから紙と突き合わせる | 完了状態を作業フローの中に保持する |
紙の運用がすべて悪いという意味ではありません。紙は単純で、誰にとっても馴染みがあり、準備もほとんど要りません。
問題が出てくるのは、作業リストが追いにくくなったときです。行数が多い、同じ商品が繰り返し出てくる、注文が変わる、顧客が複数いる、手書きの印が増える、リストと手元の商品を何度も見比べなければならない——といった状況です。
デジタルのピッキングリストなら、作業中にスプレッドシート全体をたどらせることなく、現在のタスクと進捗をはっきり示せます。
Excelそのものはこのまま使いたい場合は、Excelをやめずに現場の紙をなくす方法でも同じ工程を別の角度から取り上げています。
WMSを導入せずに作業の案内を足す
倉庫管理システム(WMS)は、ピッキングよりはるかに広い範囲を扱います。
製品にもよりますが、WMSは入荷、在庫、格納、補充、ロケーション管理、外部システム連携、人員管理など、倉庫のさまざまな工程を対象にします。
こうした機能は、業務が複雑になるにつれて重要になります。
ただし、すべての事業者が最初からその課題を抱えているわけではありません。
規模の小さいチームは、注文がどこから来るかをすでに把握していて、Excelでの準備にも慣れているかもしれません。その場合の疑問は、もっと単純です。
注文データはもうある。実際のピッキングを、もっと追いやすくするにはどうすればよいか。
こうした状況では、軽量な実行用の作業フローが、現実的な中間段階になり得ます。
選ぶ道具にもよりますが、たとえば次のような機能が役に立ちます。
- モバイルでのタスク表示
- 作業順の調整
- デジタルでの完了記録
- 音声による案内
- バーコードでの照合
- ラベル印刷
目的はWMSの機能をすべて再現することではありません。いま実際に起きている業務上の問題を解くことです。
音声ピッキングが役に立つ場面
デジタルのピッキングは、常に画面を見つめ続けることを意味するわけではありません。
現場の作業中に、棚・商品・容器・端末のあいだで何度も視線を移すと、作業の流れが途切れます。音声による案内は、商品名・規格・数量といった情報を伝えるもう一つの手段になります。
たとえば作業者は、現在のタスクを聞き、ピッキングを行い、完了を伝え、リスト全体を読むことにあまり頼らずに次へ進めます。
SortingGoは、注文データがすでにExcelやCSVにあり、それをモバイルのピッキングや仕分けのタスクに変えたいチームのために作られています。選ぶ作業フローやプランによっては、ピッキング中の音声案内や音声コマンドも利用できます。
詳しくはSortingGoの機能をご覧ください。
音声はすべての現場に必要なものではありません。画面操作の繰り返しを減らすことが、現場の作業を追いやすくする場合にこそ効果を発揮します。音声ピッキングの仕組みについては、別のガイドで詳しく解説しています。
Excelからピッキングまでの具体例
次のような注文データを持つ小規模な事業者を考えてみます。
| 注文 | 顧客 | 商品 | 数量 |
|---|---|---|---|
| A001 | 顧客A | 緑茶 | 2 |
| A001 | 顧客A | クッキー | 1 |
| A002 | 顧客B | 緑茶 | 3 |
紙で運用するなら、この行を印刷して上から順に処理していくことになるでしょう。
デジタルの作業フローは、同じ元データを別の使い方で活かせます。
- 注文がExcelで届く。 スプレッドシートは引き続き注文情報の置き場所です。
- 必要な列を特定・対応づける。 どの値が注文・顧客・商品・数量を表すのかを作業フローが認識します。
- 選んだ進め方に合わせてタスクを整理する。 注文ごとに処理することも、現場に合った別の順序で組み立てることもできます。
- 現在のタスクをモバイル端末に表示する。 スプレッドシートを探す代わりに、いまの作業に必要な情報が表示されます。
- 必要な数量をピッキングする。 たとえば「顧客Aに緑茶2個」といった内容が示されます。
- タスクを確認する。 印刷した紙に印をつけるのではなく、完了がデジタルに記録されます。
- 次に進む。 次の商品または注文が表示されます。
元の注文データが消えるわけではありません。変わったのは、そのデータを実行の場面でどう使うかです。
この違いは重要です。ピッキングをデジタル化することは、その前後にあるすべての仕組みを置き換えることとは違います。
Excelを使い続けるべきときと、WMSを検討すべきとき
すべての事業者にとって「ここでスプレッドシートをやめるべき」という単一の境界線はありません。
判断の基準になるのは、解決したい業務上の問題です。
Excel+軽量なデジタルピッキングで足りることが多い場合
- 注文データが、無理なく回っているスプレッドシート運用から出てきている。
- 主な悩みが、現場でのピッキングの実行にある。
- 業務の規模が比較的小さい、または構造が単純である。
- 全体を一度に置き換えるのではなく、段階的にデジタル化したい。
- 複雑なリアルタイム在庫の制御は、現時点では必要ない。
- 大きなシステムを決める前に、より良いピッキングの進め方を試したい。
本格的なWMSのほうが合う場合
- 複数拠点にまたがるリアルタイム在庫が業務の中心にある。
- 入荷・格納・補充をシステムで厳密に管理する必要がある。
- 複雑なロケーション管理のロジックが求められる。
- 複数の業務システムと深いリアルタイム連携が必要である。
- 高度な人員管理や自動化の制御が重要になっている。
軽量なピッキングツールとWMSは、同じ問題に対する競合する答えとは限りません。扱う範囲の階層が違います。
小規模な事業者にとって有効な問いは、次のものではありません。
手に入るなかで最も機能の多い倉庫システムが必要か。
そうではなく、次の問いです。
いまのボトルネックを解消する、いちばん小さな実際的な変更は何か。
ピッキングをデジタル化する前の簡単なチェックリスト
道具を変える前に、いまの作業フローを一度たどってみてください。
- 注文の出どころになっているExcelまたはCSVを特定する。
- 作業者が実際に必要とする列を決める。
- 重要な列と数量の意味をそろえる。
- 主に注文単位・商品単位・それ以外のどの順で進めるのかを決める。
- 各タスクの完了をどう確認するのかを決める。
- まず小さなバッチでデジタルの作業フローを試す。
- デジタルの流れを、いまの紙の流れと比べる。
- 作業者が依然として止まる・探す・入力し直す・やり直す場面を書き出す。
- 実際の業務上の問題を解決する場合にのみ、自動化を追加する。
小さなバッチから始めるとよいのは、業務の大部分を変えてしまう前に、作業フローそのものを評価できるからです。
Excelから、実際に使えるピッキング作業フローへ
紙のピッキングをやめるために、必ずしもExcelを捨てる必要はありません。
スプレッドシートにすでに使える注文データがあるなら、現実的な第一歩は、その行を現場で追いやすい構造化されたタスクに変えることです。
移行そのものは単純です。
既存の注文データ → 構造化されたタスク → モバイルでの案内 → デジタルでの完了確認
そのうえで、音声案内・異なるピッキング順・バーコード照合・ラベル印刷、そしていずれはより広い倉庫システムが、自社に実際にある問題を解決するかどうかを判断していけます。
SortingGoは、すでにExcelやCSVを使っていて、ピッキングと仕分けのためのモバイルな作業フローを求めるチームにとって、その橋渡しをする選択肢の一つです。